今日は二組のご夫婦。
昨年10月から毎月満月に観察をしながらツアーを組み立て、今年からスタートしたものの、何しろ月に一度しか催行されないと言うこともあって、なかなかオーダーが入らなかった。
今月は2日に一度満月があり、31日は2度目のブルームーン。
何か期待させるような予感がしていた。
朝からとても良いお天気で、トレードウィンドは強くなったっり弱くなったりで、あまり安定していなかった。
少し出発の遅いプランBだったので、3時にワイキキを出発。
フリーウェイに乗る直前から、プナホウ学園の下校時間で渋滞した。
ハワイにしては湿度が高く、ノロノロ走っていると暑かったが、ダウンタウンを抜けると窓から風が入ってきた。
ワヒアワのパイナップル畑を過ぎると、コーヒー畑の向こうにノースの海が見えてきた。
ノースショアもとっても良い天気。
しかしムーンボーが出るには雨も必要で、この湿度から雲が出来ることを祈っていた。
カム・ハイウェイのバイパスを抜けて、最初はラニアケアビーチに到着。
アメリカ人を中心に観光客が多かったが、光る海は美しかった。

大勢の人に囲まれながらも、ウミガメが一匹熟睡していた。

その後ハレイワタウンに戻って、ノースショアMP内で30分ほど自由時間。
「太郎」にガスを入れ、「ポリトレ」のギセラに挨拶すると、私も暑さに喉が乾いて「コーヒーギャラリー」でアイス・モカを飲んだ。
「L&L」でディナーをピックアップすると、モクレイアに向かう。
ハレイワから、モクレイア・ポロフィールドのすぐ近くにある「ホルムズベイ」まで10分ほど。
5時過ぎに到着すると、セミプライベートのビーチとシャワーを説明して、お世話になるY夫妻をご紹介。
日没まではまだ時間があるので、それぞれ自由に過ごして頂いたが、泳いだりシュノーケルをしたり、ビーチでゴロゴロしたり、近所の犬と遊んだり、Y家のネコのミミちゃんと遊んだり。
プライベートのエリアなのでビーチでビールも飲める。
サンセットの前にはお弁当も食べてもらって、まずは日没の観察から。

水平線に少し雲が出たが、その雲を含めて良い色が出た。

7時9分に陽が沈んでからも、水平線には色が随分残っていた。

7時22分が月の出だが、夏場は山のほうから上がるし、コオラウ山脈にも少し雲があったので、しばらくは明るさの残るビーチで犬と遊んだりして寛いでいただいた。


段々と暗くなってくると、後ろ側の雲が切れてきて、月明かりが差してきた。

しかし正面の海には生憎雨雲が無い。
しばらくすると、少しずつ上がってきた月が光量を増して、カフク岬方面から海の上を移動してくる雨雲が見えてきた。
我々から見て、あの雨雲が月の真正面に来た時に、月の明かりが雲やシャワーに反射する可能性を待った。
皆ビーチチェアーやラグに転がって、誰もいない海と波の音を聞いているだけで既に超リラックスムード。
すると、
雲が僅かに光り始めた。
「あれっ?」と言うと、お客さん達も気付いたようだった。
確かに雲からその下のシャワーの足にかけて、うっすらと光っている。
そしてそこに僅かな色を見つけた。
上部が赤くて下部は青い。
まさに虹!
さらにその光った部分から弧を描くように、何ヶ所か途切れて海の上が光っている。
ついに出た!ムーンボー!!
皆ため息とも驚きとも言えぬ声を上げて、カメラのシャッターを切る。
これはムーンボーを見る目的を持っていなかったら、たとえ海の上を見ても気が付かないかもしれない。
反対側の満月を見上げる事はあっても、ムーンボーを見る事は実に大変だと言うことを実感した。
結局私のカメラに写っていたのはこれが限界で、何にもわからない。

しかし、お客さんの一人、Bobby−Kさんが高性能のデジタルカメラを持っていて、それで後から見たらバッチリ写っていた。

(Photo by Bobby-K)
素晴らしい証拠の写真となったのだが、左側でムーンボーに架かっているのは金星。
丁度金星が降りてきた所が光ったのも凄かった。
なんだか私が一番興奮していたみたいだが、この後もう一度雨雲が近づいてきた。
そしてその雲も少し光ったのだが、どうやらそれは単に雲に月光が当っていただけのようだった。
そして月がこのくらい高くなると虹はもう出てこなくなる。

Y家のビッグスクリーンTVでその証拠の写真を皆で見て、お月様にありがとうと言いながら、月明かりに照らされたパイナップル畑を抜け、パールシティのイルミネーションを見ながらホノルルのタウンに戻った。
まあ、初めてのお客さん連れのツアーと言うこともあって、いたらない部分もあったと思うのだが、ムーンボーが全てを帳消しにしてくれたような感じさえした。
お客さんをドロップして、家に帰っても頭上に煌々と光る満月に、再びありがとうを言って、明日の支度を始めた。
私にとっては、人生2度目のムーンボー目撃となった夜だった。